私事ですが、先日娘が4歳になりました。どういうわけか偏屈な父親に懐いてくれており、こちらの指示を忠実にこなす最強のリモコンとなっております。テレビのリモコンを取ってもらう、自室の机からiPhoneを取ってきてもらう、自室のiMacをスリープから復帰させる等々。また、ローリング・ストーンズを流して尻を振らせ、シュトラウスのワルツを流してクルクル回転させ、エアロスミスを流してまた尻を振らせる。最終的にはタモリ倶楽部のオープニングを見せて尻を振らせる。そんな娘はビゼーのカルメンが大のお気に入り。たまにダース・ベイダーのテーマを歌ってる。4歳にして相当破綻してます。させてるのか。

それで誕生日のプレゼントが困った課題になるわけです。どうも最近プリキュアに興味を持ったらしくプリキュアのカードを見せにきたのだが「お父さんはプリキュア嫌い」と即答したところどこかへ行ってしまった。それ以来プリキュアに関しては表立ってアピールしてこない。そこでシルバニアファミリーを嫌と言うほど与えることにした。徐々に増えてきたらあれは楽しいだろう。B・KIDSとかで中古が安く買えるし。しかしそれだけじゃつまらないと思っていた。

ある日、小学校以来の友人とカレーを食っていた。彼は中古CDの通販から「かるた作家」に転身して現代アートの世界に飛び込み今ではギャラリーというか若いアーティストがタムロする場(アジトという)を提供しつつギャラリストとしても活動している。こういう奴と話していると脳の普段は使わない部分が動き出す。通常なら思いつかないようなことも頭に浮かぶ。私は娘に絵を贈ることにした。

ただ絵を買って飾るだけじゃつまらない→じゃあ描いてもらおう。本人を描いたんじゃ意外性がない→じゃあ年齢の数字をテーマにして書いてもらおう。ただ紙に書いたんじゃつまらない→じゃあLPサイズのレコードジャケットにしよう。レコードジャケットなら色々収納できるしね。これ毎年違う画家に描いてもらって数が揃ってきたら凄くね?カレーが冷めないうちにどんどん決まっていった。

カレーを平らげてアジトに移動して絵を眺め、作品を依頼する作家さんを決める。今回は塚原くみこさんという方にお願いすることにした。仲介はギャラリストである友人に任せ、連絡を取ってもらう。

後日、塚原さんが快諾してくれたと連絡が入る。一度電話で直接お話ししてコンセプトを伝え、アジトで会うことになった。話してみるととても面白い方で、どうやらロックの趣味がかなりかぶっている。今回は時間がないので完全オリジナルは難しいということでロックの名盤のパロディにすることになった。分かる人には分かるので敢えて言わないが、ロックの名盤で「4」と言えばアレである。

塚原さんに絵の構成を練ってもらう間、こちらは無地のレコードジャケットを探して奔走する。少し時間がかかったが無事に入手し塚原さんにパス。期日は誕生日までだったが、描き始めたら楽しくて筆が止まらず、少し延ばして欲しいと連絡が入る。楽しいならとことんやってもらおうと言うことで納得行くまで描いてもらい、先日受領した。しかも中ジャケまで描いてるらしい。

その出来は想像以上だった。クリエイターの想像力って素人のそれを軽く凌駕しますね。打ち合わせでイメージできてたはずなのに斜め上をいかれた感じ。素晴らしい。そして当然お金の話になるわけです。こちらは当初から予算を提示して引き受けていただいており、大変満足したので満額を支払い。塚原さんは楽しんだ上にお金がもらえて喜んでいる。仲介者である友人との取り分に関しては二人で話してもらうことにした。

多分みんなが満足してる、大変貴重な経験となった。素人ながら自分が出した企画も面白かったんじゃないかと思う。そしてこれはずっと続く。20歳くらいまでやろうかな。12枚とか16枚とか並べたら、それだけで壮大な作品になる。それぞれの数字に若いアーティストが思いを込める。年に1枚しか増えないから、絵で食っていける奴も食っていけない奴も出てくるだろう。そんな歴史が積み重ねられる1点モノのレコードジャケットたち。

あ、いつの間にか自分が楽しんでる。まぁいいや。今のうちから来年の「5」についてネタを考えよう。ああ、楽しい。

(U)