三月に入って、すっかり春らしい陽気になった今日この頃です。もう少しすると、公園などで、チョウの飛び回る姿が見られることでしょう。今回は、チョウの中でもアゲハチョウについてお話します。
アゲハは、ミカン科の植物、ゆず、キンカン、サンショウなどの葉に卵を産みつけ、ふ化した幼虫は、その葉を食べて成長します。幼虫の体の色は、最初のうちは黒と白のまだら模様で、小鳥のふんによく似ていますが、四回皮をぬぐと、周りの色にとけこめる緑色になります。この色になると食べる葉の量もびっくりするぐらいに増え、幼虫の体の色も、日に日に鮮やかな濃い緑色になっていきます。すっかり成長した幼虫が下痢をし、体がややしぼんで枝などにくっついてじっとすると、しばらくして皮をぬぎ、さなぎになるのです。幼虫がさなぎになると、この中で幼虫の時の体のしくみがこわれてどろどろになってしまい、かわりに、今までなかった羽、足、触角などが新しくつくり直されます。不思議ですよね。さなぎになって二十日程たつと、アゲハの羽の模様が外側からすけて見えるようになり、こうなるともうすぐ羽化です。羽化は朝早くで、羽化の瞬間見たさにさなぎをじっと見ていても、人間の視線を感じるのかなかなか羽化は始まらず、しばらく目を離して次見た時には、もうさなぎからチョウが出終わっていることが多いです。それでも、あのもたもたしたイモ虫が、こんなきれいなチョウになるんだと、羽がぴんとのび飼育ケースから飛び立っていく時は、感動せずにはいられません。