現在、大人気放映中のNHK大河ドラマ「真田丸」で登場中の石田三成。

三成は鷹狩りでノドが乾いていた秀吉が寺に立ち寄った際、最初はぬるいお茶、次にやや熱いお茶、そして最後に熱いお茶を出し、その細やかな心遣いを買われ秀吉の側近奉行として活躍を見せました。今でいう凄腕官僚と言ったところでしょうか。

その細やかさ故か度々お腹を壊していたとされています。「真田丸」では忍城攻めの際の軍略会議の場で腹が痛いと言って厠へ行くところが描かれていましたし、実は関ケ原の合戦で西軍の敗因の一つに三成がお腹を壊していたからという話もあるそうです。そんなお腹を壊しやすかった石田三成はある大学教授によると『過敏性腸症候群』が疑わしいとのことです。
では、『過敏性腸症候群』とはどんな病気なんでしょう?

症状
(1)下痢型:下痢が突然起こります。便の形状は軟便、もしくは水のような便です。
(2)
便秘型:便の状態はコロコロしたウサギの糞のような便で出にくいものです。
(3)
交代型:便秘と下痢が繰り返し起こります。

電車に乗ったり、テストや会議の最中などトイレに行けなくなった状況で急にお腹が痛くなるのも過敏性腸症候群の特徴です。

発症し易い人の特徴
・精神的なストレスに弱い性格の人(神経がこまやかでデリケート)
・まじめな人
・気が弱い人
・うつ傾向のある人

この病気はストレスと直結しているので、ストレスを浴びやすい働き盛りの20代~40代の人に増えているようです。まじめで気が弱く神経質、まさに石田三成に当てはまりますね。

過敏性腸症候群の診断基準
排便によって軽くなる腹痛か腹部の不快感があるか、また排便回数や便の硬さの変化を伴う腹痛や腹部の不快感があるか?」および、「排便回数の異常、便の形状の異常、便の排出の異常、粘液の排出、おなかが鳴る、膨満感」などの症状が2つ以上伴っているか?どうかがポイントとなります。
過敏性腸症候群かどうかを判断する際に、検査を行い、潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸がんなどではないことを確認することもありますので、過敏性腸症候群が疑われる症状が続くようでしたら必ず近くの消化器科や内科に受診しましょう。

治療薬紹介
・イリボー錠
下痢型の過敏性腸症候群薬として有効なのが「イリボー」という薬です。イリボーはセロトニンの刺激をブロックすることで、過敏性腸症候群の原因であるストレスに過剰に反応する腸を制御します。11回服用すると、23日で腹部の不快感が改善すると言われています。症状が無い場合も服用してもかまわないので、習慣的にイリボーを服用している方も少なくありません。
・コロネル錠
下痢と便秘を繰り返す混合型の過敏性腸症候群薬として有効なのが「コロネル」です。この薬は腸の中の水分量を調節する薬です。水分が多すぎて下痢になっているときは水分を吸収し、水分が少なすぎて便秘になっているときは水分を放出する「スポンジ」のような役割をします。腸の中の水分の状態により、適切に作用する薬なので、混合型の過敏性腸症候群の患者に非常に重宝します。
・ロペラミド
ロペラミドは下痢をとめるための強力な薬です。下痢型でコントロールできないような水様便の過敏性腸症候群薬として使えます。効能・効果は急性下痢症となっており、注意点としては便の性状が回復次第速やかに中止することです。強力な下痢止めなので、食中毒やウイルス性の下痢のように外に排出しなければならない場合は用いるのに注意が必要です。
・センノシド
便秘型の過敏性腸症候群薬として使用されるのがセンノシドです。商品名はプルゼニドです。腸のぜん道運動を亢進させ、排便を促します。

三成の時代にも上記のような薬があれば、違う歴史になっていたかもしれませんね。

もちろん、薬以外にも食事の見直しや、運動の習慣を付けたりと生活習慣を見直すことにより、心身共にストレス等の負担が軽減し症状軽減につながると思います。

余談ですが、逃亡中の山中で捕らえられた三成は、大坂・堺を罪人として引き回された後、京都の六条河原で斬首とされました。この時にこんな逸話が残っております。
処刑の前に京都を引き回された三成は喉が渇き、お湯が飲みたいと言いました。これに対し警護の侍は「水は無いが柿はある。これを食べなさい」と干し柿を差し出したところ、三成は「柿は痰の毒だから要らない」とキッパリ。侍は「間も無く首を斬られる者が毒を避けて何になる」と笑いましたが、三成は「大志を持つ者は最後まで命を惜しむものだ」と悠然としていました。もし一発逆転で斬首を免れた場合、柿で体調を崩したら次の一手が打てなくなるからですね。
もちろん柿には毒はないのですが、痰=胆=お腹と考え、柿は三成のお腹との相性が悪かったのでしょう。このとき柿を食べていたら斬首の際にお腹を壊していたかもしれませんね。

以上、石田三成と過敏性腸症候群についてでした。
症状が当てはまる方は、まずお近くの病院に受診してみましょう。

(豊明店 K)