アルコール依存症とは

 

アルコール依存症とは、大量のお酒を長期間飲み続けることで、お酒がないといられなくなる状態のことを言います。

常にアルコールが体内にないと不安やイライラしてしまい、アルコールが抜けると離脱症状として頭痛・嘔気・下痢・手の震え・発汗・動悸などの身体面の症状も現れてしまいます。
この症状を抑えるために、またお酒を飲んでしまう、といったサイクルを繰り返してしまいます。

アルコール依存症の患者さんは国内で約80万人以上と推定されていますが、予備軍も含めると約440万人にもなると考えられています。
依存症には脳内のドパミンが深く関わっています。

ドパミンは何かを成し遂げた時(試験合格、仕事のプロジェクト終了、試合で勝利した時)などによく分泌され、「快楽、意欲、多幸感」を司ることが知られています。
通常は適度なドパミン量が保たれていますが、過剰なドパミン放出によって「統合失調症(陽性症状)」を発症してしまいますし、不足しているとパーキンソン病を発症してしまいます。
飲酒の際にはドパミンの放出が促進され、「快楽・多幸感」を得ることができますが、これが過度であったり、繰り返し得ようとすることでアルコール依存症を発症してしまいます。

ドパミンの放出調節には脳内の以下のオピオイド受容体が関与しています。

オピオイド受容体

  • μ(ミュー)オピオイド受容体:ドパミン放出促進
  • δ(デルタ)オピオイド受容体:ドパミン放出促進
  • κ(カッパ)オピオイド受容体:ドパミン放出抑制

適度な飲酒ではまずμとδオピオイド受容体が適度に刺激され、ドパミン放出促進による多幸感が得られます。
飲酒から少し経過すると、κオピオイド受容体刺激によってドパミン放出が抑制され、嫌悪感を感じます。この嫌悪感は依存症の解消効果もあります。
従って、適度な飲酒では、μとδオピオイド受容体の刺激による多幸感と、κオピオイド受容体刺激による嫌悪感がバランス良く存在しているためアルコール依存症にはなりません。

アルコール依存症の始まりは、多幸感を繰り返し得ようとして短期間に何度も大量の飲酒を行なってしまいます。
しかし、μとδオピオイド受容体によって得られる多幸感は、繰り返しの飲酒によって徐々に弱まっていくことが知られています。
そうすると、飲酒をしても僅かにしか多幸感が得られず、すぐにκオピオイド受容体刺激による嫌悪感を感じてしまいます。アルコール依存症は、この嫌悪感を解消するために繰り返し何度も飲酒(多幸感の継続獲得)を行うようになってしまった状態です。

四日市駅前店 薬局長