便秘症について
生活していれば誰もが1度は経験する病気の1つに「便秘」があると思います。
しかし、いわゆる「便秘」。どんな症状ですか?と尋ねると人により違う答えが返ってきます。
患者さんからの便秘の相談でも、人によりこの症状は便秘でない、この症状が便秘という線引きが違うと日ごろより感じることが有ります。
医学的に便秘とは「本来体外に排泄すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。もちろん排便の回数減少による腹痛や腹部膨満感、便の硬化による排便困難や怒責という所謂イメージに近い便秘症状は勿論のこと、便は出るけど残便感があるなども便秘に含まれます。
また便の回数も毎日出ないと便秘だと考えられる方もいらっしゃいますが、回数だけで便秘の診断がつくわけでもありません。慢性便秘の診断基準としてRomeⅣ診断基準という物がありますがこの中でも「便秘症」の診断基準は以下6項目のうち2項目以上を満たすものと言われています。
- 排便の4分の1超の頻度で、強くいきむ必要がある
- 排便の4分の1超の頻度で、兎糞状便または硬便である
- 排便の4分の1超の頻度で、残便感を感じる
- 排便の4分の1超の頻度で、直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある。
- 排便の4分の1超の頻度で、用手的な排便介助が必要である
- 自発的な排便回数が、週に3回未満である
そのため
「毎日便は出るけど兎の便のようにコロコロしているし毎回いきむ。残便感もある」人も便秘症にあたりますし
「便は1週間に平均2回弱。硬くて中々便が出ない」人も便秘症にあたります。
この便秘症ですが若いうちは女性に多いのですが70歳以降になると男性でも増加し性差はなくなる傾向にあります。
そのため男性も女性も便秘に対する対策を知っておいた方が良いと考えられます。
便秘を起こしにくい豆知識とし
①朝食は食べた方が良い(大学生を対象としたアンケートで非便秘群の朝食欠損率は約20%、便秘群は30~50%)
②食事の際に1口の咀嚼回数が30回以上の人は快便が多い
③男性では1日1500mL以上の水分を摂取する人に快便が多い
④食物繊維も取りすぎは良くない。効果があるのは食物繊維が不足している場合である
⑤エビデンスレベルという根拠になる研究の質として質の低いエビデンスでの報告になるが腹部へのマッサージも効果
的。デメリットも少ないので試す価値がある。
等が挙げられます。
「朝ごはんは毎日取り、よく噛んで食べ水分をしっかりとる」と良いですね。
また排便を我慢する職場の人やお子さんのうちに長時間排便を我慢する癖をつけると便秘になりやすいと言います。極力排便する時間帯を規則的にするためにも
朝食は食べると良いでしょう。朝食をとる事で、その後排便を促すように体は動きます。
また適切な運動も便秘対策に有効と考えられます。
上記以外にそれでも便が出ないときは薬物療法が有効と考えられます。
排便の薬は以前まで種類があまりありませんでしたが最近多くの種類が出てきました。
市販の薬も併せ、症状やほかの薬との飲み合わせを考え薬剤師に一度相談してみると良いアドバイスが手に入るかもしれません。
ご参考にしてください。
参考)慢性便秘症診療ガイドライン2017
星川店 薬局長