痛みで心療科?
“線維筋痛症”。あまり聞きなれない病名です。
最近、痛みを訴えられた患者さんが来局される機会が増えました。
話を聞いてみると、冒頭でありました線維筋痛症の治療中ということが分かりました。
この病気は、全身の強い痛みやこわばり、睡眠障害、うつ状態などさまざまな症状が生じるにも関わらず、従来の一般的な検査では身体に異常が見られないため、正しく診断されにくいという課題があります。自律神経失調症や更年期障害、うつ病、不定愁訴症候群などと間違われやすく、明確な診断や有効な治療が行われないまま、患者さんは医療機関を転々としてしまうことが多いのです。実際、複数の医療機関を受診したのち、紹介されて訪れた患者さんばかりです。
線維筋痛症の原因はまだよくわかっていませんが、有力な説として、脳が痛みの信号を感じる機能に障害が起きていると考えられています。脳には痛みの信号を伝える機能(アクセル)と信号を抑える機能(ブレーキ)が備わっていますが、何らかの原因でこの機能に障害が生じ、ブレーキが効かない状態もしくはアクセルを踏み過ぎた状態になると、通常では痛みを感じない程度の弱い刺激でも痛みを感じるようになります。このように、脳の機能障害が痛みの原因であるため、先にありますように痛みやこわばりなどの症状が見られる部位を検査しても、異常は見られないそうです。
こうした脳の機能障害は、心理的・社会的なストレスや外傷がきっかけとなって発症する事が多いと考えられています。ただ、ストレスを受けた人すべてが線維筋痛症を発症する訳ではなく、まだよくわかっていないことも多いため、現在でもさまざまな研究が行われているそうで、治療も発展途上です。
線維筋痛症の主な症状は「強い痛み」です。線維筋痛症は、痛みの部位が全身であったり、身体の一部であったり、痛みの部位が流動的です。最初の痛みが引き金となって別の痛みが次々と生じ、徐々に広範囲に広がっていきます。痛みは長時間にわたって持続し次第に激しくなるため、患者さんのQuality Of Lifeは著しく低下します。また、日によって痛みの箇所が移動したり、痛みの強さが変化することがあります。
痛み以外の症状では、「疲労感・倦怠感」、「こわばり感」、「睡眠障害」、「うつ状態」などをはじめ、さまざまな症状が報告されています。こうした症状は悪影響を及ぼし合って進行・慢性化しやすく、その結果、日常生活に支障をきたすこともあります。
ただ原因はいまだ不明ですが、早期発見・早期治療で症状が良くなる方もたくさんみえるそうです。気になる症状がありましたら、まずは、近隣のお医者さんに相談してみてはいかがでしょうか。
はりま店 薬局長