春は会社や学校の歓迎会なども多く、急性アルコール中毒の一番多い時期です。

一般的に、エタノールの体内での代謝過程で生成されるアセトアルデヒドの代謝能力の差から「お酒に強い」と「お酒に弱い」と定義しますが、急性アルコール中毒の発生は、この「お酒に強い」と「お酒に弱い」とは関係ありません。
血中のアルコール濃度、つまり飲んだアルコールの量に比例し、誰でもが陥ることがあります。

通常、飲酒すると「ほろ酔い期」「酩酊(めいてい)期」「泥酔期」「昏睡期」という順で、徐々に血中アルコール濃度が上がるので、本人も酔ってきたという自覚がありますが、飲酒開始から血中アルコール濃度の上昇までには時間差があり、血中アルコール濃度がピークに達するには飲酒後30~60分の時間がかかります。このため、短時間で大量の酒を飲むと、酔っているという自覚なしに危険な量のアルコールを摂取してしまうことがあり、この場合、「ほろ酔い期」「酩酊期」を飛び越えて一気に「泥酔期」や「昏睡期」に到達してしまいます。

急性アルコール中毒にならないような飲み方としては

飲み始めてから酔いが回るにはある程度の時間がかかるので、飲み始めの30分程度は意識的にゆっくり飲むようにする。

空腹時はアルコールの吸収が早まるので、アルコールの吸収を遅らせる蛋白質や脂肪分を含んだつまみを食べながら飲酒する。

一気飲みはせずに、他人にも強要しない。酒の強さには大きな個人差があるので、自分のペースで飲むこと。

といったことが挙げられます。

そして万が一、急性アルコール中毒の症状が出たときには救急車を呼ぶことです。

意識を失うほど泥酔している場合。つねっても起きず、呼吸に異常(浅く速い呼吸、あまりにもゆっくりした呼吸)がある場合には極めて危険性が高い。

激しい嘔吐、吐血がある場合にも救急車を呼んだ方がよい。

酔いつぶれて横になった場合には、寝ているうちに舌がのどに落ち込んだり、嘔吐物がのどに詰まって窒息する危険があるので、必ず体と頭を横向きにして寝かせます。

以上の点に注意して、お酒は楽しく飲みましょう。

(T)