厚生労働省は、『認知症を学び、地域で支えよう』キャンペーンを実施している、これに伴い、各市町村では、『認知症サポーター養成講座』が開催されています、
5月下旬にエンゼル薬局では、認知症の更なる理解を深めるため、四日市市役所介護高齢福祉課にお願いし、講習の機会を得ましたので、その内容を踏まえ、私の感想を書いてみました、二人の講師にお越し頂き、約一時間程度熱心に講演をして戴きました。感謝申し上げます。
グループ単位でお願いすれば、いつでも講習は受けられるとのことですのでお勧め致します、終了後写真のオレンジのリングを戴きました。

認知症の症状、行動、心理症状とその支援、診断、治療、予防、認知症の方に接するときの心構え、介護をしている家族の気持ちを理解しよう、サポーターとして出来る事は、何かといった内容でした
時々、薬剤師会から、この人を探していますと連絡が入りますが、ある時の連絡は、当薬局に来られる方でした、徘徊をされていたのでしょう、本当にビックリしましたが、数日後見つかりましたとの連絡があり安堵しました、この間、本人、家族の方の気持ちを思うとせつない思いです・現実身近にあった出来事でした。
超高齢化社会を迎えました、認知症は約180万人以上に達しているそうです(癌疾患128万人)今から約40年前の1972年、有吉佐和子氏の『恍惚の人』が出版され、ベストセラーになり、当時の流行語となりました、しかし文壇からはこんな物は小説ではないと痛烈に批判されたのです。ショックを受けた有吉氏は印税1億円を施設に寄付したのです、ところが多額の贈与税を課せられたと聞いています。翌1973年森繁久彌(認知症役)主演で映画化され、やっと認知症にスポットが当たるようになったのです
当時はこれに象徴されるように、認知症に対する理解はこの程度だったのでしょう。今のように施設、介護問題、支援、理解、サポーター、ボランティア、と言った考えが、非常に乏しかった。さぞ本人、介護者の御苦労は、大変だっただろうと思います・・・頭が下がります
そして、現在も今後もこの問題は続きます、薬局勤務者として何が出来るのだろうか、何をしなくてはいけないのか、非常に考えさせられる講習会でした。
今後認知症は増加する予想です、認知症に対しての理解を更に深めたいですね。
認知症の原因で最も多いのが、アルツハイマー病・・(脳の神経細胞が死滅し、記憶力が低下する)脳血管性認知症、その他の原因が解っていますが、これが原因で生活に支障をきたす事は皆様御存じのことです。今のところ根本的な治療法はありませんが、治療薬も続々と発売されましたし、最新の検査機器で発症前に早期診断し、症状が進行しないように研究がされています、今後かなり期待できると思います。
先日我が家の子供(5歳、3歳の時)の写真を見ていました・・家の中に活気があった、喜怒哀楽もあり、何か希望と夢のようなものを持って生活していたように思います。
家内も早く子育てを終わり、自分の好きな事をしたいと思っていたと思います。しかし、こんな生活、こんな忙しい時間が良かった、今思えば、私の30代、40代の時が、一番輝いていた『上り坂』だったように思います。忘れられない想い、笑顔、今までの記憶、大切な記憶が失われる、今までの穏やかな生活、家族、友達との絆が失われていく、大変な病気だと思います。
今では体力的に『下り坂』そして『ま坂』と言う坂に出会うのでしょう。
私が認知症、家内が認知症、二人で認知症、・・想定内の出来事として、考えておかなければいけない事なのでしょうね、戸惑います。
今回の講習で認知症を本当に理解し、こんな方に優しく出来るかな・・大変な事だと思った次第です。
認知症の予防について、認知症を遠ざける生活習慣がわかってきました、実践する事で認知症にならずに済む、または、発症時期を遅らせる事が、可能になるかも知れない

  1. 野菜果物の摂取(ビタミンC、E、ベイターカロチンなどの抗酸化物質が多いので老化の原因となる活性酸素が除去できる。
  2. 魚・・サバ、イワシなどの青魚には不飽和脂肪酸であるEPA、DHAが含れているので血液の流れを良くするほか、脳の神経伝達を良くする事が知られている。
  3. 赤ワイン・・赤ワインに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、アルツハイマー型認知症の脳に見られる老人斑の発生を抑える働きがあるとされている、
  4. 運動習慣・・脳の一部の血流が深く関係している。これらの部位を活性化させるために、身体に酸素を取り込みながら行う有酸素運動を一日30分、週5回ほど行うと効果的、脳への血流が増して、酸素が取り込まれ、脳が活性化する、生活にもメリハリが出来て、体調も整う
  5. 対人接触・・アルツハイマー型認知症の発症には、対人的な接触頻度が深く関与している、閉じこもりはしない、閉じこもりはさせない
  6. 知的行動習慣
    体験したことを思い出す、いくつかの対象に注意を分けたり、切り替えたり、(注意分割機能)日常生活での判断、計画、管理を支える思考力が低下する、これらの機能を刺激するため、オセロ、サークル活動、音楽仲間との交流、パズル、文章を読み・書きする、楽器を演奏、ダンスなど効果的
  7. 脳血管性認知症の原因には、高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、心臓病などによって、脳の血流低下、あるいは損傷し、引き起こされると考えられている
    ・・まさに生活習慣病の症状と同じ、対策の一つとして
    1、禁煙・・タール、ニコチン、一酸化炭素は、体に悪影響を及ぼす
    2、食と酒を少なくする・・・腹八分目、お酒も一日一合まで
    3、良く動き(一日一万歩が理想的)、しっかり休む、人や物に多く接する

認知症の方への対応の心得
 1、驚かせない
 2、急がせない
 3、自尊心を傷つけない・・以上の3つのないが大切だそうです
何でも明るく、前向きに生活したい、元気でいたい。
今回の講習は勉強になりました。もっともっと、認知症を理解し、善きサポーターになりたい、また、認知症にならないように、生活習慣の改善に努めます。

(K)

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