厳しい残暑に、涼しさを求めて渓谷と名のつくところへ出かけたものの、期待外れに終わった帰り道、近くの駅に寄った時のことです。
町おこしの一環なのか、駅前に座っていたおばさまに、アンケートの協力を求められました。
とはいえ、「女性ね!」(はぁ)「歳は20代ね!」(えっ、いやいや40です~)「うそぉ!ほんとにぃ~?!どちらから?」(いや、ほんとに。あ、三重から)「車で来たのね!」(はぁ)・・・と、終始おばさまペースの質問攻め。
最後の『この後どこか観光されますか?』の問いには「もちろん、バイカモ見に行くのよね!」と地図を手渡される始末。
「じゃあ説明するわね・・・」と道順を教えてくれるおばさまに、バイカモとは何ぞや?とはっきりしたことを聞けないまま、教えられた通りに炎天下を歩くこととなりました。
後で知ったのですが、『梅花藻』とは、水温15℃前後の清流にしか生息しない、貴重な水中植物で、梅の花に似た白い花をつけることからこの名がつくようです。
歩くこと10分あまり、閑静な住宅の並ぶ道沿いの川に、梅花藻はありました。
澄み切った川の流れに揺れる鮮やかな緑の中に、白い小さな花がぽつぽつ顔を出し、水面には川沿いに植えられた百日紅の花びらが一面に浮かんでいました。
その清々しい風景と、この日差しの下で信じられないくらい冷たい川の水は、まさに一服の清涼剤。
少々(?)強引ながらも、うだる暑さの中、涼を与えてくれたおばさまに感謝しながら、帰途についたのでした。
(I)