皆さん、「Blow one’s nose」の意味が分かりますか?
「blow」という単語の意味は「吹く」という単語で「blow on a trampet: トランペットを吹く」とか「blown away:(爆風などで)吹き飛ばされる」などで使われたりしますが、この場合は「鼻をかむ」という意味になります。先日、外国人の患者さんに教えてもらった言い方です。
さて、実はわたくし耳鼻科の前の薬局で働いており、「鼻をかむことは大事」としばしばお話させていただいています。ですので、今回は鼻をかむということについてお話させていただきます。
鼻水は鼻の中に侵入してきた異物を流しだそうとして出てくるものです。場合によってはウイルスや細菌などの病原体に感染していると色がついてドロッとしています。それを鼻の中にいつまでもとどめておいては炎症が悪化したりしてしまうので、鼻から出した方が良いです。私も含めですが、鼻が出てくるとすぐに「すすって」しまいます。ティッシュなど不要だし、ついついやってしまいがちですが、やはり良くないです。鼻すすりは時に耳が詰まったり、こもっている感じがする「耳閉感」を引き起こすこともあります。鼻を吸うことで鼓室(鼓膜の内側)が陰圧になり鼓膜がへこんだ状態になってしまうことがあるそうです。そうすると音が鼓膜を伝わる効率が悪くなり伝音難聴となりこもったように聞こえてしまうのです。
また、小児においては鼻すすりが急性中耳炎や滲出性中耳炎を引き起こす可能性もあります。先程も触れたように鼻すすりによって鼓室が陰圧になってしまうと鼻の奥からウイルスや細菌が侵入しやすくなってしまいます。特に、小児の耳管(鼻の奥と耳をつないでいる管)は大人のそれより太く、短く、また傾斜も緩いためウイルスや細菌の侵入がしやすい構造になっています。
そういったことから鼻をすするのではなく、鼻をかむということが大事と分かります。
ただ、鼻のかみ方も間違いというのがあり、間違えた鼻のかみ方をするとそれもまた中耳炎などを引き起こしてしまう可能性があります。そこで、正しい鼻のかみ方です。
1. 口から息を吸いましょう。
2. 一方の鼻を押さえて、片方ずつかみましょう。
3. ゆっくり、少しずつかみましょう。
4. 口は閉じたまま、息をこらえてかみましょう。
5. 最後まで、強くかみすぎないようにしましょう。
次に、間違った鼻のかみ方です。
1. 左右の鼻を同時にかむ
左右の鼻を同時に一度でかむと、細菌やウイルスが含まれている鼻汁が鼻の奥に追いこまれ、副鼻腔炎や中耳炎になることもあります。
2. 力いっぱい強くかむ
強くかんだ衝撃で耳の奥にある中耳に圧力がかかり、耳を痛めてしまうことがあります。また、鼻水を耳の奥に送りこんで中耳炎になる恐れがあります。大人でも時々、鼻を強くかんで中耳炎になって受診されるケースがあります。めったにないケースですが、炎症の繰り返しなどで薄くなった鼓膜に一気に強い圧力がかかった場合は、鼓膜(こまく)を破る可能性もあります。「鼻をかむと耳に違和感を覚える」ことが頻繁にある場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
3. 鼻の中に鼻水を残したままにする
残った鼻水の中で細菌やウイルスが増えて、気管支炎や肺炎につながることがあります。
4. 指やティッシュペーパーを無理やり入れる
無理に指やティッシュペーパーでかき出すと、粘膜を傷つけて鼻血が出る、傷から細菌が入ることがあります。
5. 鼻をすする
片方ずつ、強すぎず、がポイントですね。
朝などに、寝ている間に鼻が乾いて詰まってしまっている場合などは、生理食塩水などのスプレーを噴霧するなどして湿らせて、1分くらい待ってからかむと良いそうです。(お風呂上りなどの蒸気一杯のときには鼻は通ってますもんね)
ちなみに外国では、ハンカチを使っているのを見ることがありますよね。日本ではあまりハンカチは使わないイメージですが…。鼻のかみ方(How to blow your nose)で調べたら、ハンカチも使うものの一つとして当たり前のように載っていました。鼻あたりがいいから好まれるみたいですね。説明にはちゃんと、「きれいな部分を使用してよく洗わないと細菌の温床になるよ」って書いてありました(笑)
正しく鼻をかんで冬を元気に過ごしましょう。
(Y)