店舗での調剤で、錠剤・カプセルを粉砕する機会が多いので、錠剤やカプセルの種類について、基本的なことですが、一度振り返ってみようと思い立ち、簡単にまとめてみました。
《錠剤》
裸錠(素錠)
成形し、打錠したままの錠剤。一番シンプルな形。乳糖やデンプンなどと薬の有効成分を混ぜ、そのまま錠剤の形としたもの。
糖衣錠
裸錠の周りを砂糖で包んだ錠剤。砂糖で覆うことにより、苦味をマスクできる。
コーティング錠
裸錠の周りを水溶性の高分子の膜で覆った錠剤で苦味や臭いなどをマスクしたもの。
腸溶錠
胃で溶けず、腸で溶けるように設計された薬。薬の成分が胃酸に弱い場合に使用される。
徐放錠
少しずつ溶けていくことで、長時間薬の効果が持続するように設計された薬。少しずつ薬が溶け出していくため、薬を服用後の急激な血液濃度の立ち上がりを防ぐことができる。また、徐々に腸から吸収されていくため、血液濃度の推移をゆるやかにすることができ、薬の濃度を一定にすることができる。
ロンタブ型
徐々に溶け出す性質を持った徐放性タイプの薬を、素早く溶け出す性質を持った速放性タイプの薬で覆ったもの。外側の薬がすぐに溶けて効き目が発揮され、内側の薬が徐々に溶けて効き目を持続させる。
スパスタブ型
速放性顆粒1種類と徐放性顆粒2種類を組み合わせて錠剤で、まず速放性顆粒が溶け出し徐放性顆粒が2段階で溶け出し薬の効果が持続できる。
グラデュメット型
体外に排出されるプラスチックの基板に、小さな穴を開けて薬を埋め込み、その基盤のまわりをくるんだもので、消化されることでゆっくりと薬が溶け出す。
マトリックス型
溶けにくい性質を持った脂肪を基盤(マトリックス)に薬を埋め込んだもので、腸内で基盤に埋め込まれた薬の成分がゆっくり溶け出す。基盤は体外に排出される。
レペタブ型
腸溶剤を糖衣錠のように砂糖でまわりを覆った錠剤で復効錠とも呼ばれている。外側は胃で溶け出し、内側は腸で溶け出し2段階で体内に吸収される。
口腔内崩壊錠(OD錠)
水なしで服用できる錠剤。唾液によって、錠剤が崩壊する。加齢などで物をうまく飲み込めない人や、水分を制限されている人でも飲みやすいように、唾液や少量の水で溶けるように作られた錠剤
舌下錠
舌の下に入れ、唾液によって溶かす薬。急速に吸収され、初回通過効果を受けない。
チュアブル錠
噛み砕いて服用する薬。通常の薬は噛み砕いての服用はしないが、かみ砕いて、だ液で溶かして飲む錠剤。口腔内崩壊錠(OD錠)と似ているが、チュアブル錠はかみ砕いてこまかくしてから、唾液で溶かして服用する。
バッカル錠
舌下錠と似ているが、有効成分を口腔粘膜からゆっくり吸収させる錠剤で、薬を歯と歯茎の間にはさみ、飲み込んだり、かみ砕いたりせず、唾液で自然に溶かして使用する。
発砲錠
水中で炭酸ガスを発生させて早く溶けるようにし、清涼感のある液剤として服用する薬。一般薬のビタミン剤に多い剤形。
《カプセル》
硬カプセル
比較的硬いカプセルの中に散剤や顆粒剤などが入っている。
顆粒型
ひとつのカプセルに胃で溶ける顆粒と腸で溶ける顆粒を入れたもので、溶けるまでの時間差によって効き目が長時間持続する。
スパンスル型
溶ける速度が違う速放性顆粒と、数種類の徐放性顆粒を組み合わせたもので長時間、薬の効き目が続く。
拡散徐放型
高分子膜で顆粒をくるんでカプセルに詰めたもので、ゆっくり溶けることで効き目を長続きさせる。
軟カプセル
比較的軟らかいカプセル。軟カプセルの中に液体の薬を入れることもある。
(かみえび店 T)