漢方薬の中には副作用として間質性肺炎を有するものがあります。その中でも、特に問題となった漢方薬として小柴胡湯があります。

1992年に「小柴胡湯が慢性肝炎での肝機能障害を改善する」と証明されてから、体質、症状に関係なく慢性肝炎、肝機能障害に広く用いられるようになりました。しかし、副作用の間質性肺炎によって死者が出てしまいました。小柴胡湯は本来、急性肝炎に黄連解毒湯と合方したりして、短期間用いる処方です。もし、慢性肝炎に小柴胡湯を用いるのであれば間質性肺炎等の副作用を起こさないよう注意して使う必要があります。
慢性肝炎は、慢性炎症状態において漢方で言うところの気血両虚の病態を呈してくる疾患です。このため、小柴胡湯を長期に使用する場合は、気虚を治す四君子湯と血虚を治す四物湯といった処方を合方して用いる必要があります。つまり十全大補湯のような処方を合方して用いなければなりません。このような使い方をすれば、慢性肝炎に対して小柴胡湯単味で用いるより、より有効でしかも副作用の少ない治療ができると思われます。

(四日市駅前店 H)